この記事でわかること
- 統括安全衛生責任者とは何か(現場全体の安全のまとめ役)
- 資格がいらない理由と、選任が必要になる人数
- まぎらわしい「総括」「安全衛生責任者」との違い
統括安全衛生責任者。漢字ばかりの言葉で、初めて聞いた人もいるかもしれません。
でも中身は、あなたが毎朝見ている「あの人」の話です。
とうかつあんぜんえいせい…読むだけで疲れるっす
うちの現場では、朝礼を仕切っとる所長のことやで
この記事では、現場9年目の私が、法律の言葉をなるべく使わずに説明します。数字や決まりは、すべて法律の原文で確認してあります。
統括安全衛生責任者とは
工事現場には、いろんな会社の人が同じ場所で働いています。
うちの会社、鉄筋屋さん、土工さん、鳶さん。全員が別々の判断で動くと、ぶつかったり、事故になったりします。
現場全体の「安全のまとめ役」を1人決める。これは法律で決まっています。それが統括安全衛生責任者です。

ここだけ覚えればOK
- 同じ場所に複数の会社がいる現場の話
- 決めるのは、工事をまとめて請け負った元請の会社
- 目的は、会社をまたいだ事故を防ぐこと
根拠は労働安全衛生法の第15条です(出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法」)。
統括安全衛生責任者は、うちでは所長
うちの現場で統括安全衛生責任者は誰か。所長です。
毎朝の朝礼で前に立ち、その日の危ないポイントをみんなに伝えている、あの人です。
え、所長って現場代理人じゃないんすか?
それも所長。肩書きを3つ持っとるんよ
うちの所長は、現場代理人・主任技術者・統括安全衛生責任者の3役を1人で兼任しています。兼任は法律上、問題ありません。
3役のうち、資格が必要な主任技術者の話はこちらに書きました。
統括安全衛生責任者の仕事4つ
まとめ役として、何をするのか。法律に4つ書いてあります。

統括安全衛生責任者の仕事
- 会社をまたいだ話し合いの場をつくって運営する
- 作業どうしの連絡・調整をする
- 現場の見回りをする
- 下請が行う安全教育の手助けをする
どれも「会社と会社のあいだ」を橋渡しする仕事です。自分の会社の中だけ見ていればいい役ではありません(出典:労働安全衛生法 第30条)。
資格はいらない「立場」で決まる
主任技術者には資格が要ります。では、統括安全衛生責任者はどうか。資格は要りません。試験も免許もありません。
法律は「その現場を統括管理する者を充てなさい」と書いています。つまり、現場のトップの立場にある人が、そのまま就く決まりです。
逆に言うと、どれだけ資格を持っていても、現場のトップでなければ統括安全衛生責任者にはなれません。
選任が必要になる現場の人数
どんな現場にも置くわけではありません。人数の線引きがあります。
| 仕事の種類 | まとめ役が必要になる人数 |
|---|---|
| ふつうの建設工事 | 常時50人以上 |
| トンネル・圧気工法・一定の橋の工事 | 常時30人以上 |
人数は、元請と下請を合計して数えます。
危険度の高いトンネルなどは、少ない人数から必要になる決まりです(出典:e-Gov法令検索「労働安全衛生法施行令」第7条)。
安全衛生責任者・「総括」との違い
まぎらわしい仲間を、ひとことずつで整理します。
| 肩書き | ひとことで言うと |
|---|---|
| 統括安全衛生責任者 | 現場全体の安全のまとめ役 (元請の所長) |
| 安全衛生責任者 | 下請側の窓口役 |
| 元方安全衛生管理者 | まとめ役の補佐(元請側) |
| 総括安全衛生管理者 | 現場ではなく会社の事業場に置く別物 |
特に「統括」と「総括」は1文字違いで別物です。工事現場の話をしているなら、「統括」の方です。
実はこの違い、1級土木の勉強でも避けて通れません。私が使った過去問題集にも出てくる、試験の定番です。
試験で問われるポイント
- 元請側のトップ=統括安全衛生責任者
- 元請側の補佐=元方安全衛生管理者
- 下請側の窓口=安全衛生責任者
- 選任が必要な人数=常時50人以上(トンネル等は30人以上)
「その人はどちら側か」と「何人からか」。この2つを押さえれば、名前のよく似た選択肢に惑わされにくくなります。
現場の肩書きでは、資格のいらない現場代理人の話もこちらに書いています。
よくある質問
Q. 「統括」と「総括」はどう違う?
A. 統括安全衛生責任者は工事現場の役職、総括安全衛生管理者は会社の事業場の役職です。
漢字は似ていますが、置く場所も法律の条文も別です。数字も別で、建設業の総括安全衛生管理者は常時100人以上の事業場で選任します。50人=現場の統括、100人=会社の総括、と覚えると混ざりません。
Q. 50人未満の現場なら、いなくてもいい?
A. 選任の義務はありません。ただし、元請が現場の安全をまとめる義務そのものは、人数に関係なくあります。
人数の決まりは「まとめ役を正式に1人決めるかどうか」の線引きです。
まとめ|統括は安全のまとめ役
この記事の要点を整理します。
- 統括安全衛生責任者は、元請が決める現場全体の安全のまとめ役
- 資格は不要。現場を統括する立場の人(所長)が就く
- ふつうの工事は常時50人以上、トンネル等は30人以上で選任
- 「総括」は1文字違いの別物(会社の事業場の役職)
法律の名前は漢字ばかりで、少し難しく見えます。でも中身は、毎朝の朝礼で前に立っている、あの人のことです。
明日の朝礼で、所長を見る目が少しだけ変わるかもしれません。
現場の肩書きはほかにもあります。大きな現場で登場する監理技術者の話はこちら。










