この記事でわかること
- 主任技術者とは何をする人か(ほぼすべての工事現場に必要)
- なれる資格と、資格がなくてもなれる道
- 専任・兼任のルールと、うちの所長が3役兼任という現場の実例
主任技術者。工事の書類や現場の掲示で、必ず目にする肩書きです。
でも「何をする人か」をきちんと説明できる人は、現場にも意外といません。
主任技術者って、所長のことっすか?
うちの現場は実際そう。でも肩書きとしては別もんなんよ
この記事では、現場9年目の私が、うちの所長を例にしながら、主任技術者の役目・資格・専任・兼任のルールを説明します。
主任技術者とは何をする人か
主任技術者とは、工事現場で施工の技術上の管理をする責任者のことです。
施工計画を立て、工程や品質をチェックし、工事を技術の面から取り仕切ります。
ここが大事
- 建設業の許可を持つ会社が請け負う工事には、金額に関係なく必要
- 元請でも下請でも、それぞれの会社が自社の主任技術者を置く
小さな工事にも必ずいる役目です。根拠は建設業法の第26条にあります(出典:e-Gov法令検索「建設業法」)。
主任技術者になれる資格

誰でもなれるわけではありません。土木工事の場合、道は大きく2つです。
資格でなる道
土木工事の主任技術者になれる主な資格
- 1級・2級土木施工管理技士(二次検定まで合格した人)
- 技術士(建設部門など)
ポイントは二次検定までという部分です。一次だけの合格(技士補)では、土木工事の主任技術者にはなれません。
実務経験でなる道
資格がなくても、その工事の実務経験が10年以上あればなれます。学歴は問われません。
大学や高校で土木の指定学科を出た人は、3〜5年に短縮されます(出典:e-Gov法令検索「建設業法」第7条第2号)。
ちなみに私は現場9年目。2027年に、実務10年の道に届きます。
専任が必要な工事の金額
工事が大きくなると、主任技術者は「専任」になります。
専任とは、その現場に付きっきりで、他の現場と掛け持ちできないという意味です。
専任になる金額(2026年9月時点)
- 請負金額4,500万円以上の重要な工事(学校や道路など公共性のあるもの)
- 建築一式工事の場合は9,000万円以上
この金額は法改正でたびたび変わります。
「4,000万円」と書いてある記事は古い情報です(出典:e-Gov法令検索「建設業法施行令」第27条)。
主任技術者の兼任はできるか

できます。うちの現場が実例です。
うちの所長は、現場代理人・主任技術者・統括安全衛生責任者の3役を1人で兼任しています。
えっ、全部所長がやってるんすか?
そう。名刺には書いてないけど、所長は肩書きを3つ持っとるんよ
現場代理人と主任技術者は、同じ人が務められます。
公共工事の標準的な契約ルールにも「兼ねることができる」と明記されています(出典:国土交通省「公共工事標準請負契約約款」)。
紛らわしいのですが、「兼任OK」と「専任」は別の話です。
兼任と専任のちがい
- 兼任=同じ現場の中で役職を重ねること
- 専任で禁止されるのは別の現場との掛け持ち
現場代理人がどんな役目かは、こちらで説明しています。
監理技術者・現場代理人との違い
似た肩書きとの違いを、ひとことずつで整理します。
| 役職 | ひとことで言うと |
|---|---|
| 主任技術者 | 技術の責任者。 ほぼ全現場に必要(資格が要る) |
| 監理技術者 | 大きな工事での上位版。 下請の合計5,000万円以上で交代(資格+資格者証が要る) |
| 現場代理人 | 社長の代わりに現場を任される人。 資格は不要 |
工事の規模が大きくなると、主任技術者が監理技術者に交代するという関係です。
監理技術者の詳しい話は、こちらにまとめました。
主任技術者と専任技術者の違い

もうひとつ、名前がそっくりな「専任技術者」という役目があります。
こちらは現場ではなく、会社の営業所にいる技術者です。
建設業の許可を取るために、営業所ごとに必ず置く決まりです(出典:e-Gov法令検索「建設業法」第7条)。
うちの専任技術者って、誰なんすか?
正直、意識したことないんよなあ
白状すると、現場9年目の私も、うちの専任技術者が誰なのか意識したことがありませんでした。
営業所の中の役目なので、現場からは見えません。
いる場所が違う
- 専任技術者=営業所にいる(許可のための役目)
- 主任技術者=現場にいる(工事のための役目)
名前は似ていますが、別の役目です。
専任技術者は営業所に専任なので、現場の主任技術者との掛け持ちは原則できません。
専任の金額がサイトで違う理由

この記事を書くとき、上位のサイトを読み比べて気づいたことがあります。専任の金額が、サイトによってバラバラでした。
4,000万円と書くサイト。4,500万円のサイト。大手の会計ソフト会社の記事は5,000万円と書いていました。
理由は2つあります。
金額が割れる2つの理由
- 2025年2月の法改正で、4,000万円→4,500万円に上がったばかり(古い記事は4,000万円のまま)
- 同じ改正で監理技術者の金額が5,000万円になった(こちらの数字と混ざっている)
どれが正しいか、どうやって見分けるんすか?
元の法律を見るのが一番よ。記事は書いた日で止まっとるからな
私はe-Gov法令検索で、建設業法施行令の条文を直接確認しました。
2026年9月時点の正解は、4,500万円(建築一式工事は9,000万円)です。
出典:国土交通省「建設業法施行令の一部を改正する政令」・建設業法施行令 第27条
よくある質問
Q. 主任技術者がいない場合はどうなる?
A. その工事を請け負えません。配置は建設業法の義務です。
「今回は小さい工事だから無し」はできない決まりになっています。
Q. 1級土木に合格したら主任技術者になれる?
A. 二次検定まで合格すればなれます。一次だけ(技士補)では、土木工事ではなれません。
技士補で何ができるかは、この記事に正直に書きました。
まとめ|主任技術者は手が届く役目
この記事の要点を整理します。
- 主任技術者は技術の責任者。金額に関係なく、ほぼすべての工事現場に必要
- なるには二次検定までの合格か、実務10年(指定学科卒なら3〜5年)
- 4,500万円以上の重要な工事では専任(掛け持ち不可)
- 兼任はOK。うちの所長は3役兼任している
- 営業所にいる専任技術者とは別の役目
主任技術者は、遠い肩書きに見えて、資格を取れば順番に手が届く役目です。
私の場合、二次検定に受かるのが先か、実務10年が先か。どちらが先でも、2027年です。
所長が持っとる3つの肩書きのうち1つに、ようやく手が届きそうやわ
その二次検定に挑む記録は、こちらで実況しています。










